横浜市在住のおでかけ好きの地元ライターが、とっておきの横浜の魅力を、地元民目線で紹介します。
横浜市には、大小2700を超える公園があることをご存知でしょうか。日常の憩いの場となる身近な公園が豊富なうえ、みどりや水辺といった自然に触れられる広大な公園も充実し、動植物の観察会や田んぼでのお米作りなど、バラエティ豊かなイベントや体験が楽しめる公園もあります。今回は、自然からの癒やしと学びを体験できる横浜の公園の魅力をご紹介します。
目次
横浜の公園①バードウォッチングなどイベント豊富な「横浜自然観察の森」(栄区)

横浜市南部・円海山周辺の森は、約700haもの面積がある市内最大規模の緑地です。その一部が「横浜自然観察の森」となっています。
「自然観察の森」とは、都市近郊の自然を守りつつ市民が自然とふれあい学べるよう、環境省の補助で全国10カ所に整備された自然保護教育の拠点。「横浜自然観察の森」は、その第1号として横浜市が1986年に開園しました。
現地を訪れると、大小の木々や草花が生い茂り、多彩な鳥のさえずりが聞こえてきます。鳥や虫のみならず、タヌキの姿を見かけることも。ここではなんと約3500種類もの動植物が確認されているのだそう!



“いきもののにぎわいのある森”をコンセプトに、指定管理者としてこの森を守るのが「日本野鳥の会」です。園内の自然観察センターにレンジャー(専門知識を持つスタッフ)が常駐し、森の管理や調査、自然観察会や展示などを通した環境教育も行っています。
ともに活動するのがボランティアのみなさん。「横浜自然観察の森友の会」を組織し、約140人が活動しています。
友の会には、10のボランティア団体があります。例えば「雑木林ファンクラブ」は、雑木林の管理のため木を伐採したり、伐った木を使って木工や炭焼きをしたり。

毎月第1日曜に季節の動植物の観察イベント「季節の森を歩こう」を主催している「森の案内人ハンミョウの会」や、自然農法の野菜を作る「畑プロジェクト」など多彩なプロジェクトがあり、自然を愛する方々が楽しく活動しています。
この地の自然をより深く感じられる定例イベントも開催されています。今回はレンジャーと友の会が年5回共催する「森を守るボランティア体験」に参加してきました。

このイベントは、主に友の会に参加したい人に向けた内容で、レンジャーが「横浜自然観察の森」の概要を説明し、ボランティアグループが持ち回りで友の会の活動を紹介します。
今回は、「みんなでバードウォッチング」を開催する「鳥のくらし発見隊」が担当。同グループの中里さんと藍沢さんのガイドで、園内でバードウォッチングも行いました。

木の葉が落ちる冬は、バードウォッチングに最適な時季なのだそう。「まずは鳥の声を聞いて、鳥の居場所にあたりをつけるといいですよ」と藍沢さん。
おなじみのウグイスやヒヨドリの声が聞こえてきます。「ツツピー、ツツピー」とさえずるシジュウカラの小さく愛らしい姿も見られました。
木々の間で「ジュリッ、ジュリッ」という鳴き声がする方を見ると…

日本で2番目に小さい野鳥・エナガがいました! 「上にも野鳥がいますよ」と中里さん。遥か上空に浮かんでいたのは…

「ノスリです。ホバリング(空中に停止)して獲物を探すんですね。人間の視力にすると8.0くらいあるそうです」と中里さん。ほかにトビやオオタカなども観察できました。
園内を歩く中で、藍沢さんが「この木を見てください」と足を止めました。

「幹のシマシマは、外来種のタイワンリス(クリハラリス)がかじった跡なんです」と藍沢さん。木の皮を剥がされ枯れてしまう木もあるそうで、かわいいからといって、リスにエサなど与えないようにしてくださいね、とのことでした。
バードウォッチングの後は、この日出会った鳥を参加者同士で確認し合う「鳥合わせ」を実施。約1時間で15種類の野鳥を確認できました。横浜という都市でもこんなにたくさんの野鳥を観察できるなんて、驚きですね。
月例の「みんなでバードウォッチング」は約2時間なので、もっと多くの鳥を観察できそうです。無料で事前申し込みも不要で、中学生以上が対象ですが、保護者同伴なら小学生も参加できます。
双眼鏡の貸し出しがあり、観察のコツや見分けのポイントなども教えてもらえるので、鳥好きな人はぜひ気軽に参加してみてくださいね。

基本情報
横浜自然観察の森
住所:神奈川県横浜市栄区上郷町1562-1
開館時間:自然観察センター9時~16時30分 ※園内は日の出〜日の入り
休館日:月曜(月曜が祝日の場合はその翌日)、年末年始
URL:https://sancyokohama.sakura.ne.jp/
※みんなでバードウォッチング
日時:毎月第2日曜9時20分~12時 ※9時〜受付
https://sancyokohama.sakura.ne.jp/info.html#torikura
横浜の公園②自然の中で昔ながらの里山の暮らしを体験できる「こども自然公園」(旭区)

旭区の「こども自然公園」は、「大池公園」とも呼ばれる通り、江戸時代に農業用水池として作られた大きな池がシンボルです。「万騎が原ちびっこ動物園」やアスレチック遊具のある「とりでの森」、バーベキュー広場に野球場もあり、まさに子どもがのびのび遊べる場所。梅林や桜山はお花見スポットとしても人気です。
園内の里山には雑木林が広がり、湧水が出る湿地もあります。また横浜の里山でかつて多く見られた谷戸田(丘陵の谷間の湿地に作られた田んぼ)も教育水田として保存されています。これらを活用してさまざまな自然体験イベントを実施しているのが「こども自然公園どろんこクラブ」です。

家族で楽しめるさまざまな自然体験イベントを実施。中でも、親子を対象とした年間を通して活動する自然体験コースが3つあります。「毎年2月の募集時には抽選を行うほど人気なんですよ」と「こども自然公園どろんこクラブ」の藤井さん。

まず「里山コース」は、雑木林を手入れしたり、湿地を開梱して古代米を作ったり、落ち葉で堆肥を作ったり。横浜とは思えないようなのどかな環境の中で、季節の変化を実感し、自然を守りながらその恵みをいただく暮らしを体験できます。

「畑コース」では、無農薬・無化学肥料の野菜作りを種まきから定植、収穫まで体験。イモや枝豆などの栽培のほか、神奈川伝統の「津久井在来大豆」を育てて豆腐や味噌を作ったり、コンニャクイモを育ててこんにゃくを作ったり。育てた野菜を加工して味わえるのも魅力です。

一番人気は「水田コース」。機械や農薬、化学肥料を使わず、昔ながらの方法で米作りを行います。いつも何気なく食べているお米に感謝の気持ちを持つようになる子どもも多いとか。

米作りの作業は、1回のみでも参加できるイベント「タノシゴト」として、毎月内容を変えて実施しています。今回は、餅つきを行う「タノシゴト」にお邪魔してきました。
作業は2家族で、蒸した餅米を杵で潰すところからスタート。これがなかなか時間がかかります。「餅つきは米をつぶす作業が7割くらいなんですよ」と藤井さん。

餅米が潰れてひとかたまりになったら、いよいよ餅をつきます。まずはお父さんから。

お母さんたちに交代した後は、子どもたちも餅つきを体験しました。

お餅が完成したら、のし餅にして持ち帰るほか、お楽しみの試食も! つきたてのお餅は既製品では味わえないおいしさ。パクパク食べておかわりする子どもを見て「普段はあまりお餅を食べないのにすごいね」と驚くお母さんもいました。

餅つきをはじめ、昔ながらの稲作文化に触れる機会は今では貴重です。それが横浜という大都市にいながら体験できるなんて素晴らしいですね。
「こども自然公園どろんこクラブ」は年間コースや「タノシゴト」以外にも、小枝や木の実で工作するネイチャークラフト教室や、星空観察、芋掘りなど、さまざまな自然体験を実施しています。興味のある方は、ぜひFacebookなどでチェックしてくださいね。

基本情報
こども自然公園
住所:横浜市旭区大池町65-1
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/midori-koen/koen/koen/daihyoteki/ko-sizen.html
※公園は24時間無休で開放。園内施設はそれぞれ開館時間・休館日が異なります
こども自然公園どろんこクラブ
営業時間:9時〜16時
休業日:月曜・水曜・木曜
URL:https://www.doronco-club.com/
まとめ
今回紹介した2つの公園に限らず、横浜市には自然の中で貴重な体験ができる公園がたくさんあります。昔ながらの里山や谷戸田のほかにも古民家が保存されている公園もあり、それぞれに楽しいイベントが実施されています。
●自然観察イベントや農業体験イベントがある公園の例
みその公園(鶴見区)
横浜市こども植物園(南区)
新治里山公園(緑区)
都筑中央公園(都筑区)
茅ヶ崎公園(都筑区)
舞岡公園(戸塚区)
本郷ふじやま公園(栄区)
天王森泉公園(泉区)
長屋門公園(瀬谷区) など
都会暮らしの便利さとともに、少し足を伸ばせばのどかな自然の広がる公園があり、そこで行われるユニークなイベントで自然の豊かさを満喫できる。これらが叶うのも、横浜で暮らす魅力といえるでしょう。
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そのほかにも遊んで学べる体験をサイト内でご紹介しています。
https://iju-sumu.city.yokohama.lg.jp/parenting/#pa-sec04